「どれくらいの時間を勉強すれば、システム監査技術者試験に合格できるのか?」、「システム監査技術者試験、本当に合格できるのかな?」そんな不安を抱えてるあなた、私も同じでした。
その努力がどれくらい必要なのか、実感としてどれくらいの時間をかければよいのか、みんな気になると思います。
私もかつてその疑問を抱え、毎日学び続けた一人です。試験に挑戦するすべての受験生が直面するこの大きな壁。
この記事では、そんな経験を元に、1発合格を勝ち取った私の勉強時間とその方法を、紹介したいと思います。
- 金融機関の社内SEとして勤務
- システム監査業務未経験
- 高度情報処理技術者試験を初受験(基本情報技術者のみ保有)
- 午前1試験から受験
システム監査技術者試験とは?
システム監査技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施している日本における情報セキュリティと情報システム監査分野での資格試験です。
IPA(情報処理推進機構)では、対象者像を以下のとおり定義しています。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、高い倫理観の下、監査対象から独立かつ客観的な立場で、情報システムや組込みシステムを総合的に検証・評価して、監査報告の利用者に情報システムのガバナンス、マネジメント、コントロールの適切性などに対する保証を与える、又は改善のための助言を行う者
引用:独立行政法人情報処理推進機構
https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/au.html
システム監査の専門家にとって、専門知識とスキルを証明する重要な資格の一つです。資格を取得することで、情報セキュリティ分野でのキャリアや仕事の機会が広がり、組織における情報セキュリティの向上に貢献できます。
システム監査技術者試験の概要
試験スケジュール
試験日程 | 秋季年1回(10月)実施予定 | ||
申込み | 7月上旬〜下旬頃 | ||
受験料 | 7,500円 |
試験日程
「情報処理安全確保支援士」以外の高度情報処理試験は、年1回春か秋のどちらかに実施されます。
「システム監査技術者試験」は、秋期に実施されています。年に1回だけ受験可能なので、申し込み忘れ等注意が必要です。
申込みスケジュール
システム監査技術試験の受験申込みスケジュールとしては、7月上旬〜下旬頃となっています。
申込み期間が短めとなっているため、必ずIPA(情報処理推進機構)のHPからスケジュールを確認するようにしてください。
引用:独立行政法人情報処理推進機構 スケジュール、手数料など
https://www.ipa.go.jp/shiken/mousikomi/schedule.html
受験料
受験料は、試験区分一律「7,500円」となっています。
試験時間・出題形式
午前1 | 午前2 | 午後1 | 午後2 | |
---|---|---|---|---|
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) | 10:50~11:30 (40分) | 12:30~14:00 (90分) | 14:30~16:30 (120分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) | 多肢選択式 (四肢択一) | 記述式 | 論述式 |
出題数 | 30問 | 25問 | 3問 | 2問 |
回答数 | 30問 | 25問 | 2問 | 1問 |
合格基準 | 60点 | 60点 | 60点 | ランクA |
試験時間
上の表のとおり、試験は4区分に分けて実施されて、同じ日に受験することになります。
出題形式
午前問題は、多肢選択式(四肢択一)で出題されます。100点満点中60点以上で合格です。
午後1は記述式、午後2は論述式となっていて、監査業務に関する実務的な問題が多く出題されます。午後1は、100点満点中60点以上で合格、午後2は論文評価がランクAで合格です。
システム監査技術者試験の勉強時間
システム監査技術者試験の勉強時間は、一般的に200時間〜300時間と言われています。
結論として、僕がシステム監査技術者試験合格のために費やした勉強時間は「250時間」です。勉強期間としては、2022年4月から開始して、6ヶ月間勉強しました。
また、前提条件となる受験時の経歴は、以下のとおりです。
- 金融機関の社内SEとして勤務
- システム監査業務未経験
- 高度情報処理技術者試験を初受験(基本情報技術者のみ保有)
- 午前1試験から受験
午前1・午前2試験の勉強時間
午前1・午前2試験はどちらも多岐選択式で、過去に出題された問題が多く流用されています。
勉強時間は、午前1・午前2合計で「80時間」です。
システム監査技術者試験の勉強は、まずこの午前1・午前2試験から始めていきました。下記の問題集を使って、多くの問題を解いてくスタイルで理解を深めました。
この問題集の良いポイントは
- WEBアプリによる問題演習が可能
- 試験区分に合った形式で問題が掲載
- 出題率から分析した厳選問題
その他試験区分の受験時も本書を使って合格できたので、とてもオススメの問題集です。
午前1・午前2試験の反省点
試験勉強を振り返って感じた反省点としては、以下の2つです。
- 勉強開始時期が早すぎた
- 勉強時間を多く使いすぎた
午前1と午前2試験は、暗記系の試験です。当然、時間が経てば勉強していたことを忘れてしまいます。
まだ未知の午後試験に比べると、手を付けやすいという点で勉強を始めたのが反省です。
また、午後試験の勉強に取り組んでいなかったために、午後試験の難易度の高さに気付いていませんでした。
午後試験の勉強を後回しにしたために、勉強期間の後半になってかなり焦ることになりました。
午後1試験の勉強時間
午後1試験の勉強時間は、「90時間」になりました。
午後1試験は、長文問題を読み、設問に30字程度で解答していく記述式の出題形式です。
午前試験と違い、暗記だけではとても太刀打ちできない問題ばかりです。特殊な問題構成のため、「慣れる」ことがとても重要な試験と感じます。
午後1試験の反省点
反省としては、「早く勉強に着手するべき」だったという点です。午前試験の反省点とは逆ですね。
初めて勉強した時に思ったことは、「何を言っているか全く分からない」でした。問題文も何を問われているのか、テキストの解説を読んでも意味が理解できず、「何でこの答えになるのか」さっぱり分かりませんでした。
午前試験で勉強した知識では、全く歯が立ちません。
「慣れる」ことが、重要な試験です。多くの問題を解いていけば、必ず慣れることができます。
深い専門知識が要求されるような試験では無いため、慣れてしまえば色々な問題に対応できるようになります。
システム監査の事例に関する問題のため、監査実務を理解することができて、午後2試験の論文に活かすことができます。
午後2試験の勉強時間
午後2試験の勉強時間は「80時間」です。
午後2試験は、問題文から論述するテーマを読み解き、2時間で2200字以上の論文を作成する論述式試験です。
僕が実際に勉強して、難しいと感じた点は以下の通りです。
- 明確な「正解」が存在しないこと
- 論文の「書き方」がわからないこと
- 論文テーマの「範囲」が膨大であること
初めて論文を書く人は、何を書けば良いかさっぱり分かりません。
まずは、多くの論文に触れることが初めて論文試験にチャレンジする方には大事です。
僕は、以下のテキストで論文事例を多く読んで、「どの程度書けば良いか」レベル感を把握することから始めました。
また、この本には「論文の書き方」や「使えるフレーズ」、「テンプレート」が掲載されているため、論文試験の勉強に欠かせない存在となりました。
午後2試験の反省点
テキストによる勉強で、「論文の書き方」などは理解できました。
しかし、システム監査技術者試験の「論文テーマ範囲の広さ」には対応できませんでした。
正直、「80時間」では足りなかったと感じます。運良く書けるテーマが出題されたため、合格することができたと思っています。
システム監査業務に関する論文を作成することは、全て共通ですが、その監査を行う「対象」が多くあります。つまり、「論文テーマ範囲の広さ」とはこの「監査対象」の多さにあります。
例えば、システム開発の各工程が監査対象になるもの、運用や保守がテーマとなるもの、情報セキュリティやRPA・AI・DX等の特定分野に関するものなど、かなり広範囲に出題されます。
それぞれの監査対象に関する深い知識は要求されませんが、「その監査対象がどういうものなのか」くらいは理解できていないと、論文を作ることができません。
「論文の書き方」や「システム監査」の知識以外にも、「監査対象」の知識も必要となってくるため、多くの時間が必要となりました。
明確に「どれくらい勉強すれば大丈夫!」というものがないため、可能な限り多くの時間を使って論文の準備をすることをオススメします。
まとめ
システム監査技術者試験の勉強時間について、まとめておきます。
システム監査技術者試験の勉強時間 合計250時間
- 午前1 午前2試験
80時間 - 午後1試験
90時間 - 午後2試験
80時間
合格への道のりは険しいかもしれませんが、目標を見据え、計画的な学習を続ければ、必ず合格できるはずです。知識とスキルを高め、新たなキャリアの扉を開いてください。
成功を心から祈っています。頑張ってください!